朝日新聞のニュースで宮型霊柩車が10分の1に激減、衰退の意外な理由という記事がありました。
寺社建築を模した「屋形」が施されたが、令和の今は姿を消しつつあると記載されていました。衰退の原因の一つに「苦情」があったようです。目立つ宮型霊柩車が自宅近くを通ると「縁起が悪い」などと近隣住民から苦情が寄せられたのが原因です。
最近、葬式に参列しても宮型霊柩車は見ることはありません。当社でも年に2回ほど神式での神葬祭を執り行いますが、宮型霊柩車ではなく高級乗用車やステーションワゴンを改造して作られたのが多いです。
それと宮型霊柩車の新車価格は安いもので500万円程度から2,000万円以上するものもあるそうです。購入値段も高額なので激減する要因です。
ところで50年前に共に上海中医学院で研修を受けた米国人のバーバラがご主人を連れて京都観光に来た時に、たまたま宮型霊柩車が走っているのを見ました。ご主人が日本的でいい車だといって、是非とも欲しいと言われました。これは霊柩車「funeral car」で普通の自動車ではないと説明して諦めてもらいました。
昭和30年代までは鶴見神社の氏子地域に徒歩10分程度に火葬場があるので、棺桶を担いで親族や地域の人が葬列を組み、野辺送りしました。さすが昭和40年代になると宮型霊柩車で火葬場に行くことが主流になりました。
若い時に友人たちと歩いている途中に宮型霊柩車を見かけると、よく「両手の親指をかくせ」と言われました。親指を隠さないと親の死に目に会えなくなるといわれました。これは親が長生きしてほしいという願いからです。最近では宮型霊柩車を見かけることがなく、一般の霊柩車も一般の車と変わらないので親指を隠す風習は廃れてきました。
以前は霊柩車の助手席には喪主や故人との関係が深い家族が乗車するのが一般的でした。位牌や遺影などを持って奥さんや子供さんが霊柩車に乗り込んでいました、現在では参列者と同様に車やタクシーやマイクロバスなどで火葬場へ移動しています。
今はどうか分かりませんが、昔は霊柩車の運転手に「心付け」を渡していました。
新型コロナウイルスが流行した時期、亡くなられた人の通夜なく火葬場の直葬が増えました。当社の近くにある火葬場は一般の人の火葬はできない状態でした。
朝日新聞の記事によると新型コロナウイルス以後、葬儀の小規模化や低価格化が進み、宮型の需要は一段と減ったそうです。それに伴い「主流」になったのが、一般車と見分けがつかないバン型の霊柩車らしいです。普通の霊柩車と比較しても安く利用できるそうです。家族層葬が増えれば安いバン型の霊柩車が主流になるでしょう。


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